特定非営利活動法人
アジア眼科医療協力会
Association for Ophthalmic cooperation in Asia
アイキャンプとは、数少ない眼科医を有効に活用して、医療施設の無い地方の町や村にもその恩恵 を受けてもらうために、ネパールやインドで行われている開眼手術活動のことです。
メンバー構成は、眼科医、医療助手、マネージャーなどからなる10人ばかりで、1~2週間と期間を決めて病院の無い地方に出向き、学校などの建物を借りて仮設の診療室や手術室、病棟を作り、外来診察や手術を行います。
町や村では、主だった世話人たちが患者や医療チームの住居を確保し食料を提供し、地域のボランティアを集めてはじめられます。医療の全ては我々のような海外のNGOやネパールの赤十字・ライオンズクラブなどが負担し、患者は全て無料が原則です。
現在ネパールでは推定失明患者は約15万人で、その内手術によって光を取り戻すことが出来る人々は10万人と言われています。今この瞬間にも僻地に住み、貧しさゆえに病院に行けない大変な数の人が失明の闇の中で生きています。ネパールのアイキャンプでは、眼内レンズや医薬品を含め、一人の白内障患者を手術するのに1,000円あれば足りるのです。
かつてアイキャンプでの白内障手術は、肉眼で行う水晶体全摘出術(水晶体を包んでいる袋ごと取り出す術式)を行っていました。しかし、日本の多くの皆様のご協力、ご寄付のおかげで顕微鏡下で眼内レンズを挿入する手術を行えるようになりました。また、ナラヤニ・アイケア・プロジェクトに代表される病院運営・支援により設備、医療技術が発展し、病院のある平野部でのアイキャンプは必要なくなり、病院のない山岳部のアイキャンプへと遷移していきました。
肉眼で手術を行っていた時代
顕微鏡下眼内レンズ移植時代
平野部から山岳部へ
当会の活動にご賛同いただいた多くの皆様の支援により、1970年代には3人しかいなかった眼科医は、現在のネパールでは160人を超えました。この数は十分な数とは言えませんが、ネパール人の手で眼科医療の無いヒマラヤの山岳地帯にアイキャンプ隊を出せるまでになりました。そうしたことから、2010年6月に行われたAOCA総会にて、高いコストをかけて日本人医療チームを派遣する必要が無いと判断されました。今後はネパール人が行うアイキャンプ、他の団体が行うアイキャンプを支援していく方針です。また、インドダラムサラで行うアイキャンプについては必要性に変わりは無く、今後継続していくつもりです。
年度 | キャンプ地 | 手術数 | ボランティア | ||
---|---|---|---|---|---|
医師 | 看護師 | 他 | |||
1973 | ジャナクプール イナルワ ゴール |
745 | 10 | 18 | 51 |
1974 | バドラプール ネパールガンジ マハントラナ |
978 | データなし | ||
1980 | バヤルバタ ドルカ |
356 | 3 | 2 | 1 |
1981 | ダラン | 153 | 3 | 1 | 2 |
1982 | データなし | 3 | 0 | 2 | |
1983 | ハリナガラ ラジビラジュ |
262 | 5 | 1 | 5 |
1984 | バグダプール パナウテ ダン |
355 | 3 | 3 | 4 |
1985 | オラベリ ヘトウラ デオクリ |
162 | 3 | 0 | 2 |
1986 | ビルガンジ | 212 | 5 | 0 | 2 |
1987 | ドウビー ダラン |
153 | 2 | 0 | 1 |
1989 | サリアン ゴール ビルガンジ |
483 | 8 | 1 | 2 |
1990 | ゴール | 561 | 4 | 2 | 2 |
1991 | バグダプール ビラトナガル パンチカル |
775 | 6 | 4 | 5 |
1992 | バグダプール ビラトナガル パンチカル |
576 | 8 | 3 | 2 |
1993 | ゴール バンチカル |
648 | 5 | 2 | 2 |
1994 | ゴール ルグウ |
564 | 6 | 2 | 2 |
1995 | ゴール パンチカル |
450 | 12 | 1 | 0 |
1996 | マラングマ ゴール スルケット タトパニ ケディア |
930 | 18 | 0 | 8 |
1997 | チャリコット ダマク |
297 | 14 | 0 | 3 |
1998 | チャリコット ゴール ケディア |
284 | 9 | 1 | 3 |
2000 | チャリコット ダマク フィテム ダラムサラ(インド) |
269 | 10 | 5 | 11 |
2001 | ダラムサラ | 58 | 4 | 0 | 0 |
2002 | チャリコット ダマク ダラムサラ |
254 | 12 | 4 | 1 |
2003 | チャリコット ボジュプール ダラムサラ |
262 | 13 | 1 | 8 |
2004 | チャリコット ボジュプール ダラムサラ |
236 | 5 | 1 | 2 |
2005 | チャリコット ダラムサラ |
175 | 7 | 4 | 3 |
2006 | チャリコット ボジュプール ダラムサラ |
206 | 10 | 2 | 11 |
2007 | チャリコット ボジュプール ダラムサラ |
207 | 16 | 4 | 7 |
2008 | サリヤン ダラムサラ |
286 | 9 | 4 | 4 |
2009 | タムガス ダラムサラ |
208 | 11 | 4 | 7 |
2010 | ダラムサラ | 43 | 5 | 2 | 3 |
2011 | ダラムサラ | 64 | 8 | 1 | 4 |
2012 | ダラムサラ | 50 | 9 | 1 | 6 |
タトパニ (NGO団体EArTHのサポート事業) |
58 | 5 | 4 | 3 | |
2013 | ダラムサラ | 67 | 5 | 1 | 2 |
ルンビニ (NGO団体EArTHのサポート事業) |
275 | 6 | 1 | 7 | |
2014 | ダラムサラ | 47 | 4 | 2 | 2 |
ナラヤニ | 42 | 4 | 0 | 0 | |
2015 | ダラムサラ | 42 | 5 | 3 | 1 |
2016 | ダラムサラ | 57 | 6 | 2 | 2 |
2017 | ダラムサラ | 67 | 5 | 2 | 1 |
2018 | ダラムサラ | 77 | 3 | 1 | 1 |
バイラクッペ | 20 | 5 | 1 | 1 | |
2019 | ダラムサラ | 66 | 3 | 1 | 1 |
バイラクッペ | 19 | 4 | 1 | 1 | |
2023 | ダラムサラ | 54 | 4 | 1 | 2 |
ダラムサラはインド北西部、ヒマチャル・プラデッシュ州のカングラ県にあるインドとパキスタンの国境に近いヒマラヤ山脈西部の標高約1200~2000mの南斜面に位置し、14世ダライ・ラマ法王が1959年チベット本土からこの地に亡命しました。ダラムサラにはチベット亡命政府の各省庁が設置されています。また、文化人類学的にも貴重なチベット関連の歴史資料や仏教経典が数多く保管されているチベット文化の保存かつ継承の上で大切な場所です。
■ダラムサラアイキャンプの活動背景
初期のアイキャンプ活動では「波百流」主導の下、AOCAから眼科医を派遣し医療協力を行いました。2002年に長期派遣された柏瀬医師が、眼科助手の検眼技能の向上、寄贈したA-modeスキャンを用いた術前眼軸長測定のルーチン化などチベット人眼科助手の教育を行いました。日程も12月25日からの5日間に設定していましたが、第11回(2010年度)からは、より参加しやすいアイキャンプとするため、12月28日からの4日間と固定化されました。
2004年に「波百流」が眼科医療支援から撤退しました。AOCAはダラムサラアイキャンプ事業を引継ぎ、これまで「波百流」が中心として行われていた現地との交渉などを直接行うことになりました。アイキャンプを継続する以外にも必要に応じて眼科医療機器をDelek病院、Zonal病院に寄贈しました。今後はダラムサラ内にある二つの病院間の連携強化を図ると共に、後方支援病院であるZonal病院の眼科医療レベルの向上が必要であると考えています。
問い合わせ先:〒663-8104 兵庫県西宮市天道町7-10 ハイム天道105号
TEL 0798-67-3821 FAX 0798-67-3823
E-mail info@aoca.jp
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