特定非営利活動法人

アジア眼科医療協力会

Association for Opthalmic cooperation in Asia

NARAYANI Eye Care Project
 ナラヤニ・アイケア・プロジェクト

ナラヤニ・アイケア・プロジェクト
(NECP)とは?

NECP logo

 ネパールは国土の80%が嶮しいヒマラヤ山脈とそれに続く丘陵地帯(首都のカトマンズは標高1,200mの盆地)で、南のインド国境に接して帯状にタライ平野が広がっています。タライは、昔は虎が徘徊してマラリヤが蔓延するジャングル地帯でしたが、現在は急速に開けつつある農業地帯でありネパールの人口の約6割がここに住んでいます。

 SWCとの契約の中で示されたプロジェクトのターゲット地域はナラヤニ県全域ですが、実質的なカバー地域はナラヤニ県の南部3郡とジャナカプール県のサライ郡、インドのビハール州の7郡を含めた人口約375万人(2001年調査)の地域です。実際、患者の6割~7割はインドのビハール州から国境を越えてやってきます。ビハール州は、インドの中でも特に貧困地域で、医療施設の乏しい地域です。

ナラヤニ・アイケア・プロジェクトの
活動地域

NECPの活動地域

 ネパールの人口は約2 千5 百万人で、両眼の完全失明者は18 万5 千人で失明率は1000 人に8 人と推定されています。その内白内障による失明が13 万人(70%)で、緑内障、トラコーマによる失明がそれぞれ2 万8千人、2 万5 千人です。白内障のほとんどは手術により視力を回復することが可能です。トラコーマは生活習慣を変えることで予防可能であり、早期発見治療により治療可能です。すなわちネパールにおける失明の約8 割は予防可能か治療可能なのです。

 このような失明、眼病の状況に対して、眼科疾患を治療する機関は眼科病院や大学の眼科医や眼科助手Ophthalmic Assistance (OA) やプライマリーアイケアセンターのOA などネパール全土で眼科医が約160 名、OA が約300 名おります。

 一方、ネパールの地域住民達が病気になった時かかる一番身近な医療機関は、村の保健所兼診療所というべきヘルスポストやサブヘルスポストです。ここには医師はいず、カトマンズで4 年間公衆衛生や初期医療を学んだ医療士が1 名いて、プライマリヘルスケアを行っています。このヘルスポストがネパール全土で約4000 あり、SECSN の対象地域にヘルスポストが826 件、ヘルスポスト医療士が826 名おります。

 SECSN は、病院やプライマリケアセンターで眼科医療を行っている眼科医やOA の技術力を高めると同時に、草の根でプライマリヘルスケアを行っているヘルスポストの医療士にプライマリアイケアを教育し、病院から草の根までの眼科医療を強化しようとするものです。

ナラヤニ・アイケア・プロジェクト支援年表
年度 支援内容
1988

24HTVとAOCAの共同プロジェクトの合意書取り交わされる。

■SSNCC(ネパール社会福祉協議会委員会)への登録申請。

■ケディア眼科病院に車両Nissan patrolを導入。その後プロジェクトの発展に伴い、さらに2台の車両と近代医療機器を導入。

1989

■SSNCC(ネパール社会福祉協議会委員会)と一般協定を結び、プロジェクト名を「ナラヤニ・アイ・ケア・プロジェクト」として登録。ケディア眼科病院内に事務所を設置。

■第1回のゴールアイキャンプをはじめ、7か所でアイキャンプを開催。この年より小学校検診、ヘルスポストへの巡回診療、ヘルスポストのスタッフ指導も開始される。

1990

■カトマンズに事務所設置。現地代表はカトマンズ、医師はビルガンジに常駐するようになる。

■1997年のゴール眼科病院建設まで、毎年数ヶ所で場所を変えてアイキャンプを行なう。ゴールでは特に手術患者が多かったため(最高634名)連続して8回のアイキャンプを行なう。

1991

■カドカ医師のインド、バナラシでの眼科専門医研修(奨学金100万円)を支援。

■ケディア眼科病院にスタッフ宿舎兼入院病棟(100床)を総工費2,500万円で建設(郵政省ボランティア貯金の配分2,000万円を受けて)。

1992

■8月、11月にブータン難民キャンプにて眼科検診及び手術を実施。

■ケディア眼科病院に手術顕微鏡、スリット等を寄贈。

1993

■6月にゴール市の水害緊急支援を行う。

■社会福祉協議会(SWC、旧SSNCC)と一般協定の更新とプロジェクト協定の締結を行う。

1994

■ケディア眼科病院の眼科医リジャール医師と眼科助手ジブラージュ・アチャーリア氏、マノジ・ウパディア氏が串本リハビリセンターで3ヶ月間の研修。

1995

■ゴール・アイケアセンター建設を8月に着工。

1996

■第8回目の最後のゴールアイキャンプを行う。

■ケディア眼科病院へYAGレーザーを寄贈。

■ケディア眼科病院の眼科医ドウジャ医師が串本リハビリセンターで3ヶ月間研修。

1997

■ゴール眼科病院支援

・第一期工事:外来病棟、入院病棟(16床)、スタッフ宿舎完成。

・ゴール・アイケアセンターからゴール眼科病院に名称を変更し、5月開院。プロジェクトがインドで眼科専門医研修させたカドカ医師が院長として着任。12月30日、黒住、甲斐氏ら多くの日本人が参加して開院式。

・車両2台を導入。

・手術顕微鏡、超音波測定装置等寄贈。

■SWC(社会福祉協議会)との契約を更新。

1998

■ケディア眼科病院支援

・手術室看護師ブミ・.シュレスタ女氏が3ヶ月間、日本研修(主に串本とあさぎり病院にて)。

・手術顕微鏡を寄贈。

■ゴール眼科病院支援。

・第2期建設着工。

1999

■ケディア眼科病院支援。

・手術顕微鏡を寄贈。

■ゴール眼科病院支援

・第2期:医師宿舎、スタッフ宿舎、事務所コンプレックス、入院病棟〈22床〉完成。

2000

■ケディア病院支援

・A-スキャン等検査機械、手術用器具の寄贈

・眼科助手のC.M.ジャー、B.M.マヤが串本リハビリセンターで2ヶ月半研修。

・ケディア眼科病院への支援を24時間テレビがフェーズアウト。

■ゴール眼科病院支援

・郵政省ボ貯金事業で医療機械(白内障手術セット5、紫外線流水殺菌装置、全自動煮沸超音波洗浄装置、スリットランプ、オートクレーブ等)寄贈。

・眼科助手のナラヤニ・コイララが眼科松本クリニックにて2ヶ月半研修。

・雨期でも病院に行けるようにプレネワ橋を建設。

■SWCとプロジェクト契約更新。

2001

■ケディア眼科病院支援

・眼科助手(OA)のジブ・サンカール氏、サイレース氏が2ヶ月間日本研修。

・超音波白内障手術装置を寄贈。

■ゴール眼科病院支援

・第3期工事着工。

・超音波白内障手術装置を寄贈。

2002

■AOCAが特定非営利活動法人(NPO法人)として認証される。

■黒住格先生逝去。

■ゴール眼科病院支援

・K.B.カドカ医師が3ヶ月間、徳島大学などで超音波白内障手術の研修。

・手術室増築。入院病棟改築。スタッフ宿舎建設。

2003

■黒住基金(翌年3月まで)の設立、約2,400万円の募金が集まる。

■ケディア眼科病院支援

・バナジ院長が3ヶ月間、超音波白内障手術と角膜移植術の日本研修(主にあさぎり病院と串本リハビリテーションセンターにて)。

・トプコン手術顕微鏡寄贈(新品と中古の2台)。

・僻地移動診療バスの導入(黒住基金+外務省NGO補助金事業)。

■ゴール眼科病院支援

・YAGレーザーを寄贈(黒住基金)。

・入院、外来病棟屋根をRCCに改築、事務所兼大会議室棟建設。

2004

■ケディア眼科病院支援

・Aモードスキャン眼軸測定装置(50%負担)及び、角膜内皮細胞測定装置寄贈。

■ゴール眼科病院支援

・ダハール医師の眼科専門医習得奨学金開始(黒住基金事業)。

・入院病棟(62床)の増設、患者付き宿舎建設。

・病理用顕微鏡の寄贈。

・ダス医師を病院が雇用、カドカ医師との2名眼科専門医体制となる。

2005

■ゴール眼科病院支援

・NNJSとゴール病院、プロジェクト代表4名を日本に招聘し今後の支援について検討(8月24日より30日まで)。

・髙木社製手術顕微鏡(ライオンズクラブ寄贈)を運搬、設置。

・スタッフ宿舎Ⅱ(12家族)建設、全病棟の床吹き替え工事終了。

2006

■ゴール眼科病院支援

・無停電電源装置の導入。

・9万ℓの給水タンク建設。

・白内障患者のフィールド調査「ロータート郡の白内障患者の現状とNECPの活動の成果」施行。

■5月15日でSWCとの契約が終了し、24HTVがプロジェクトより撤退。

■24HTV事業終了式をゴール眼科病院で執り行う(8月31日)。

■AOCAがSWCとの一般協定を更新(9月28日)、プロジェクトのフェーズアウト期として5年間の支援を開始。

■式典「ありがとう24時間TV、共働した18年」を大阪で開催(11月3日)。

病院運営・支援

 プロジェクトが支援したケディア眼科病院は、1988年当初、年間手術数が200例にも満たない懐中電灯で手術・診察する前近代的な小さな病院でした。プロジェクトは、日本から5人の眼科医と5人の現地代表を長期派遣してスタッフの指導養成を行い、病院の施設・設備を拡大・近代化しました。その結果ケディア病院は、2005年には年間1万134人の白内障手術を行う地域の基幹病院へと発展しました。

 1997年には、ネパールの中でも特に貧困地区で、白内障による多くの失明者が見捨てられていたゴール地区に新たにゴール眼科病院を建設し、プロジェクトが養成した眼科医が院長に就任しました。また、病院の建設ばかりではなく、スタッフ官舎や患者付き添いハウス、そして病院に通じる橋までも建設しました。また、この二つの病院からは、合計9人の医師や看護師が日本で約3ヶ月の研修を受けました。ゴール眼科病院は、プロジェクト最終年である2005年には年間手術数3578人の白内障手術が行なわれ、現在も順調に発展し続けています。

ケディア眼科病院
■ケディア眼科病院とは

 ネパールは国土の80%が嶮しいヒマラヤ山脈とそれに続く丘陵地帯(首都のカトマンズは標高1,200mの盆地)で、南のインド国境に接して帯状にタライ平野が広がっています。タライは、昔は虎が徘徊してマラリヤが蔓延するジャングル地帯でしたが、現在は急速に開けつつある農業地帯でありネパールの人口の約6割がここに住んでいます。

 SWCとの契約の中で示されたプロジェクトのターゲット地域はナラヤニ県全域ですが、実質的なカバー地域はナラヤニ県の南部3郡とジャナカプール県のサライ郡、インドのビハール州の7郡を含めた人口約375万人(2001年調査)の地域です。実際、患者の6割~7割はインドのビハール州から国境を越えてやってきます。ビハール州は、インドの中でも特に貧困地域で、医療施設の乏しい地域です。

■ケディア眼科病院の運営

 ケディア眼科病院運営においての当会の担当は眼科医の派遣と医療機器の供与で、「24時間テレビ」は調整員の派遣とスタッフの給与、新病棟およびスタッフ住居の建設を受け持ちました。当会は飽浦から始まり佐藤、黒田、川口、呉ら計5名の眼科医を長期派遣し、それまでの懐中電灯と直像鏡1本で行う前近代的診察からスリットランプで全患者を検査するやり方を定着させました。また7名の素人を一から教育し眼科助手の国家資格を取得させました。このスタッフの充実によりフィールドワークにも力を入れ、アイキャンプや巡回診療、学校検診などの活動を通して病院を地域に根付かせる努力を行いました。プロジェクト開始前は年間の手術数が200人程度の病院が、現在では年間手術数10,000人以上をこなす地域の基幹病院にまで発展し、ほぼ経済的自立を果たしています。

プロジェクト開始当初(1988年)のケディア眼科病院

プロジェクト開始当初(1988年)の
ケディア眼科病院

現在(2007年撮影)ケディア眼科病院

現在(2007年撮影)のケディア眼科病院

■ケディア眼科病院の活動実績

外来数と手術数の推移(単位:人)
外来数 手術数
1987 6,100 126
1988 14,228 436
1989 13,507 628
1990 19,866 1,509
1991 27,891 2,406
1992 31,200 3,228
1993 34,150 3,024
1994 32,212 2,516
1995 37,631 1,965
1996 36,369 1,816
1997 38,768 2,042
1998 40,949 2,722
1999 45,630 4,071
2000 49,859 4,641
2001 47,384 5,142
2002 52,092 6,174
2003 55,218 7,964
2004 66,326 10,520
2005 75,355 11,011

外来数

手術数

外来数(上段)と手術数(下段)の推移グラフ

ケディア病院の手術室

ケディア病院の手術室

ゴール眼科病院
■ゴール眼科病院とは

 ゴール眼科病院は、ケディア眼科病院から東へ車で3時間走ったインド国境の町ゴールに、プロジェクトが一から建設した病院です。ゴールを中心とする地域は、ネパールやインドの中でも最も経済的に貧しい地域で、眼科施設が全くなく白内障による失明者が数多く放置されていた地域でした。そのため、場所を変えて行っていたアイキャンプを8年間連続して行った所でもあります。「24時間テレビ」からの歴代の派遣現地代表たちの手によって病院の建設は具体的に進められ、1995年に建設着工、1997年に開院しました。

■ゴール眼科病院の運営

 AOCAからはインドで研修させたカドカ医師の派遣と医療機器の寄贈を行い、「24時間テレビ」は外来兼手術棟と38床の病棟やスタッフ住居を建設しました。また、所在地が低地のため雨季には交通が遮断され患者は受診出来ないため道路と橋の建設を行いました。乾季の稼動状況は外来患者1日平均200名、手術数は週 50~60例ですが雨季には患者が激減します。交通の問題もありますが「暑い季節は手術創が化膿する」と言う迷信とも戦わねばなりませんでした。

 2006年12月「24時間テレビ」チャリティー委員会がプロジェクトを去りました。その後もAOCAは2006 年~ 2010 年の5 年間でゴール眼科病院を経済的に自立させるためにNNJS との共同でNECP フェーズアウトプログラムを実施しました。その成果もありゴール眼科病院は、外来数や手術数の増加し、経済的自立に近づいています。しかし、眼科医も眼科助手の数も少ないため十分な数の手術や精力的なアウトリーチ活動が行えない状態です。今後はスタッフの増員と質の良い手術顕微鏡の購入、眼科医の技術力の向上(超音波白内障手術の技術習得)などが必要であると考えています。

開院当初(1997年)のゴール眼科病院

開院当初(1997年)のゴール眼科病院

現在(2005年撮影)ゴール眼科病院

現在(2005年撮影)ゴール眼科病院

■ゴール眼科病院の活動実績

ゴール眼科病院の手術室

ゴール眼科病院の手術室

外来数(上段)と手術数(下段)の推移グラフ

外来数(上段)と手術数(下段)の推移グラフ

アウトリーチ(野外)活動

 ネパール・インドの僻地に住むほとんどの人々は、1)病院が近くにない2)病院の治療代が払えない3)病院に連れ行く人手がない4)伝統的な誤った医療を信じ眼病に対する正しい知識がない、等の理由で眼病にかかっても病院に行かず放置されています。これらの真に加療が必要な数多くの人々に医療を受けてもらうには病院の外の地域社会に出掛けて行って、無料や低料金で行う治療活動や教育活動が重要であると考え、プロジェクトは地域密着アウトリーチプログラム(Community Based Outreach Program)活動を行いました。

■アイキャンプとアイスクリーニングキャンプ

 アイキャンプとは病院のない地域に医療チームを組んで出掛けて行き仮設の手術室を作って行う白内障の開眼手術を中心とした奉仕活動で、プロジェクトの初期にはこの現地で手術を行うアイキャンプが中心でしたが、後期にはアイスクリーニングキャンプと称して、現地でスクリーニングを行い軽傷者はその場で治療し、手術が必要な者や重傷者は病院へ運搬して加療・手術を行う方式に切り替わっていきました。

■僻地移動検診(Mobile Clinic)

 初期には4~5ヶ所のヘルスポストへ月に一度、車やバイクで訪れてアイスクリーニングを行う巡回診療を行っていましたが、ケディア眼科病院では2003年に、専用の僻地検診バス(黒住基金+外務省補助金事業)が導入され、で病院からの遠隔地に出掛けてスクリーニングを行う方式に切り替えました。このバスの導入によってケディア病院の手術数は激増しました。ゴール眼科病院にも2007年、黒住基金を使ってこのバスが導入されました。

ケディア眼科病院の僻地検診バス

ケディア眼科病院の僻地検診バス

■アイヘルストレーニングプログラム

 「アイヘルストレーニングプログラム」とは、行政の中に組み込まれたプライマリヘルスケアにプライマリアイケアを組み込むプログラムのことで、地域の住民に密着してヘルスケア活動を行っているヘルスポストのヘルスワーカー達や女性地域ヘルスボランティア達(Female Community health volunteers)に対してプライマリアイケアの教育を行い、彼らの地域ヘルスケア活動の中で眼病患者を発見し、病院に紹介するシステムを構築する活動のことです。この教育は、伝統医(Traditional Healers)や薬販売人に対しても行われました。

女性地域ヘルスボランティアへのプライマリアイケア教育

女性地域ヘルスボランティアへの
プライマリアイケア教育

■スクールアイヘルスプログラム

 地域の小学校を訪問して眼疾患検診と予防教育を行う活動を行いました。

スクールアイヘルスプログラム(児童検診)

スクールアイヘルスプログラム(児童検診)

■プライマリアイセンターの設立

 「プライマリアイケアセンター」とは、病院からの遠隔地に、眼科助手が常駐してプライマリアイケアを行うセンターのことで、ニジガルとボジュプールに設立されました。

ボジュプールプライマリアイケアセンター開所式の様子

ボジュプールプライマリアイケアセンター開所式の様子

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