ネパールの人口は約2 千5 百万人で、両眼の完全失明者は18 万5 千人で失明率は1000 人に8 人と推定されています。その内白内障による失明が13 万人(70%)で、緑内障、トラコーマによる失明がそれぞれ2 万8千人、2 万5 千人です。白内障のほとんどは手術により視力を回復することが可能です。トラコーマは生活習慣を変えることで予防可能であり、早期発見治療により治療可能です。すなわちネパールにおける失明の約8 割は予防可能か治療可能なのです。
このような失明、眼病の状況に対して、眼科疾患を治療する機関は眼科病院や大学の眼科医や眼科助手Ophthalmic Assistance (OA) やプライマリーアイケアセンターのOA などネパール全土で眼科医が約160 名、OA が約300 名おります。
一方、ネパールの地域住民達が病気になった時かかる一番身近な医療機関は、村の保健所兼診療所というべきヘルスポストやサブヘルスポストです。ここには医師はいず、カトマンズで4 年間公衆衛生や初期医療を学んだ医療士が1 名いて、プライマリヘルスケアを行っています。このヘルスポストがネパール全土で約4000 あり、SECSN の対象地域にヘルスポストが826 件、ヘルスポスト医療士が826 名おります。
SECSN は、病院やプライマリケアセンターで眼科医療を行っている眼科医やOA の技術力を高めると同時に、草の根でプライマリヘルスケアを行っているヘルスポストの医療士にプライマリアイケアを教育し、病院から草の根までの眼科医療を強化しようとするものです。